背の順で三人と一本が、尚も精霊石の洞窟を進んで行ったところで、
「……混ざった、混ざった混ざった混ざった……あ!」
と叫んで、一番後ろのアイムが足を止めた。
「混ざったって、ずーっと前に精霊さんに言われたことあるわ!」
「……何だよやかましい」
フォルクスの嘆きも聞いちゃいない。
「いやな、このアイムさん、昔新入りの精霊さんと、軽く喧嘩になってなー……」
話はこうである。
『貴方、有翼人じゃ無いでしょ』
昔初対面のアイムに、大胆にもこう話しかけた精霊がいたのだ。
『よくも見事に「混ざった」ものね。手を出すなら相手を選んで欲しいわ……あのエルフもどき』
『有翼人だってば! だって、お父さんもお母さんも』
『はあ? 貴方、飛べないでしょ。それに親のどっちにも似てないし』
勿論、アイムが殺し屋として名を馳せるより、ずっと前の話。
「……で、このアイムさんは、そいつと一日口をきかなかった」
「一日なんだ」
「言われ慣れてたからなー」
当時のアイムは、周りの子供達にそう言われては、しょっちゅう殴り合いの喧嘩をしていたのだ。
「あいつ元気かな」
ぽつりと呟く。
「こんなに精霊さんの匂いがぷんぷんしてたら、誰がいたって見つかりやしねーし」
「お前、この状況分かって言ってる?」
と、フォルクス。
その時一人、無言で鉱脈をゆっくり進んでいるドワーフを見て、
「ん?!」
アイムが不意にフォルクスを追い越したと思うと、ドワーフの頭の布だけを掴んで、左にぐわし、と回した。
「お前、何やって……」
ドワーフが足を止め、振り返らずに右足を三回タップする。
「――――ほん、ほん、本日のステンダー地方の天気は晴れ、晴れ、ハレハレハレ気温はじゅ、イェイ、イェイイェイイェイ」
重低音だがやたらノリが良いのはともかくとして、先刻のお方様がどうとか言っていたのとは、まるで別人な声のドワーフ。
「あっはははははは!!」
アイムが爆笑する。
「何かこいつ、別のとこから操られて喋ってると思ったら、やっぱしなー!」
「いや全然分かんないし」
フォルクスはともかく、ラヴェルまでアイムの行動を理解してない様子なのは珍しい。
そーれ、と言ってアイムは更に、ドワーフの布を回転させる。
「――――私から魔法騎士団に、……依頼する……」
また声が変わった。
おかしな台詞に変わりはないが、ふとフォルクスは気付く。
「……これ、ザインさまじゃね?」
聞き覚えのある声がその時、洞窟にクリアに響き渡った。
「フォルクス・バームを連れ戻せ」
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