……やっと、寝てくれた。
そう言葉にすることも放棄して崩れ込んだのは、寝息を立てるエルフの親でも何でも無く、フォルクスとアイムである。
「こんなに酒癖が悪いとは思わなかった……」
「……なー」
二杯目から抱きつくキスする料理をひっくり返す、ありとあらゆる酔っ払いの悪事をやらかした後、フォルクスの精霊魔法とアイムの睡眠薬がやっと効いて、トーアは大人しく眠り始めた。
「とりあえず、まだ呑むなんて言わないよな? アイム」
「じょーだん、ちょいこの辺片付けたら、寝る。つーかもう朝近いけど」
と言ってアイムは立ち上がれ…なかった。膝の上に銀髪が乗っている。
「うーん、アイムちゃーん」
そう唸ってごろごろと腹の方へ転がる。
「げ」
とだけ言ってフォルクスは立ち去ろうとしたが、足首をアイムが掴んだ。
こうなると、睡眠が遠くなる。
「……アイムちゃん、やっぱり、シノそっくりー。特にー、目の辺りとかー」
「――それ、でたらめじゃねーんだな?」
アイムの声が低くなった。
「ルージュの奴が、ラディスハイドに行けって言ったのは、こういうことか」
「やけにこだわるんだな、お前も」
隣にフォルクスも座り直す。
「生みの母親に関係あることは、一応頭に入れとかねーと。その為にラディスハイドくんだりまで来たんだしな」
「てっきりベルナート閣下目的だと思ったけど」
それ以前に、フォルクスの護衛があるが。
「……おじちゃんは、その気になればいつでも会えるさ。もっとも大義名分がねーんだけど。おい、本当なんだな?」
うーん、とトーアは喉を鳴らす。
「シノはー、魔法使う時は目が僕と同じ色になるんだけどー、その目付きがアイムちゃんの通常運転とおんなじ……むにゃ」
「おい、寝るな、いややっぱ寝ていい!」
「どっちだよ」
肩をすくめるフォルクスの足元で、槍だから酒に縁が無いラヴェルが深々と溜め息をついた。……要は目付きが悪いってことでしょ、あたし、当たってたんじゃない。
やっぱり気になるものなのだろうか、とフォルクスはぼんやり思う。自分の母親への感情とは、かなり違う。
ルージュ以外に身内がそいつしかいないからな、と、アイム。デートキルさんは? 最近ウェノ送ってる? と、フォルクス。
あれは色々複雑なんだよ、と、眠りに落ちる前のアイムの声が響く。
少し後、多分夜明けの頃、フォルクスはトーアのアルコール無しの呟きを聞いていた。
ファイア・パピニオの詠唱と共に。
「……見つかりましたよ、アーリン様」
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